このページは教育キネシオロジーとブレインジムの新しい動きをお 伝えするものです。
今回は次の2点をご紹介します。
□『EDU-K UPDATE』2009年4月号の全訳
  ・森の子供たち:学びへの動き
  ・今月のスポット:ムーブメント・ダイナミックス
  ・Ask Dave コーナー
  ・Edu-Kの秘訣:お祝い
  ・ブレインジム物語
  
□『EDU-K UPDATE』2009年5月号の全訳 こちらから
  ・今月のスポット:トータル・コア・リパタニング
  ・Ask Dave コーナー
  ・Edu-Kの秘訣:ブレインジムとは何か?
  ・ブレインジム物語

---------
 EDU-K UPDATE 2009年4月号
---------
皆様へ
普段の生活にもどるにつれ、ほんの数週間前にドイツで開かれたばかりのブレインジム年次総会のことが思い出されます。満開の花が絵のように美しい風景でした。

その週はインターナショナル・ファカルティ会議から始まりました。委員会と執行部とともに、17カ国以上から集まったファカルティのメンバーは丸三日間をボランティアで会議に費やし、ブレインジムの重要課題を論議しました。一日平均10時間をかけ、世界中のインストラクターや受講生やクライアントに関わってくる諸々の議題に集中して取り組んでいました。その献身ぶり、コミット、目の当たりにした実り多い対話には、畏敬の念を感じています。

役目柄私は、この組織が多様なニーズに取り組んでいることは常々理解していました。しかし50人ものこのグループの人たちと差し向いで座ってみて、私は更にこの思いを深めました。全員の意見に耳を傾け解決策を共有してみると、普段電子メールや電話を通じてやりとりしているのとは全く違った関係が生まれました。全感覚が携わることで、何故私たちが世界的な組織になったか、ブレインジムの活動がどのようにして多くの国境を越えていったのかが、容易に理解できました。

続く四日間はただ啓発と感動の連続でした。この取り組みがどれほど多くの人生に触れ、文化の違いにかかわらず有効であるかを体感するのは素晴らしいことでした。

通訳の人たちが献身的に、会議の期間中疲れ知らずにはたらいてくれたおかげで、すべてのプレゼンテーションを独英両語で聴くことができました。講演者が素晴らしいばかりでなく、運営委員会においても立派な会議マニュアルの発行から、宴会のおいしい食べ物やダンスに至るまで、あらゆることに配慮が行き届いていました。静かな部屋まで用意され、そこでは学んだ全体をバランスし統合するためのメッセージテーブルが置かれていました。IAKのスタッフの皆さんが多くの時間を費やしてくださったおかけで、今回の会議の成功につながったと思います。深謝いたします。

2010年の年次会議はアメリカ合衆国の東海岸で開催される予定です。7月の中旬から下旬の開催予定ですが、日時と場所の詳細については追ってお知らせすることになります。皆さんもご参加になり、ブレインジムのグローバルなコミュニティの奥行き深い体験を得られますよう願っています。

次の方々に感謝します。

・この活動を創始したお二人のデニソンに。
・活動内容を指導するファカルティに。
・組織を守る委員会に。
・日々の運営を行う執行部に。
・活動内容を教えるインストラクターに。
・活動を分かち合う受講生に。

皆さんそれぞれの人生がブレインジムのプログラムで豊かになりますように!
そしてこのグローバル・コミュニティが皆さんの旅路の支えとなりますように!

カリ・コーディ
ブレインジムインターナショナル、専務理事


◆ 森の子どもたち:学びへの動き シンディ・ゴールデイド
Waldkinder・・・森の子どもたち・・・先達てのドイツへの旅のハイライトは、黒い森で未就学児童たちと過ごした朝のことです。カーラ・ハナフォードが幼稚園で「学びの生理学」コースを教えたときの写真をたくさん見せてくれるので、私はこの学園を実際に見てみようと心に決めました。

子供たちは春休みを終え、その日が登園の第一日目でした。私にとっても開校している学園を見に行く唯一のチャンスでした。グループはホテルで担当の教師と落ち合い、「トレイル(小道)」まで連れていってもらいました。子どもたち、インストラクター、親御さん、犬、ブレインジム・インストラクターの一団が、街の端から森の基地まで長い散歩に出かけました。ようやく「小屋」にたどり着くと、子どもたちは所持品をしまって遊び始めました。小屋は中継地にすぎないのですが、簡素ながら本格的な木工具やロッキング・チェア、ギター、荒削りのピクニック・テーブルなどが備わっています。

どんな天候でも森は子どもたちの教室であり、自然にはあらゆる教材が揃っています。丸太に登り、木材の山を並べ変え、小川を渡り、虫を観察する・・・子どもたちが学びへと動かされる様子には息をのむものがありました。遊びは自発的なもの。選択も社交もごく自然に起こります。しばらくして先生が歌い始めると、皆が外に集まって、歌や遊戯をするため輪になりました。理事のサド・トラハンがフルートを吹いて子どもたちを魅了しました。教師が歌で導くと子供たちはペアになり、野外探索とその日の楽しみを続ける前に、おやつを食べに小屋の中に入りました。

ちょうどミネソタへと帰るために道を引き返さなければならない時間となりました。「動きは学びへの扉」という私たちのスローガンを実践として見たこの機会を、私は決して忘れないでしょう。


◆ 今月のスポット:ムーブメント・ダイナミックス(223 & 224 MD)
公認インストラクターのスー・ステピックは、ムーブメント・ダイナミックス(共同創立者のゲイル・デニスンが創設したコース)についてこう述べています。

「ユニークな三次元の動き(ラテラリティ、センタリング、フォーカス)を、遊びに富んだクロス・クロールのバリエーション、融合音楽に合わせたやさしいダンスのフロー、次のような目標――非言語コミュニケーションの改善、クリエイティブな力を発揮する、個人のスペースを尊重するなど――のためのアクション・バランスをとおして体験してください。」

このコースへの参加者は、重力に即した姿勢、身体中心部の活性化、明瞭な運動表現などを楽に行える動きのパターンを探究していきます。参加者は、ブレインジム、ヴィジョンジム、統合された動きの、楽しく実用的な新しい応用方法を学びます。

参加者のコメント:
「リズムの体感からブレインジムの重要性を実感しています。」(CHさん)
「ムーブメント・ダイナミックスでは全く新しい感覚とバランスの形を手にします。」(KRさん)
必修:ブレインジム101への参加

次回のムーブメント・ダイナミックスについての予定は、ホームページを参照して下さい。



◆ Ask Daveコーナー 
ホームページの掲示板に寄せられた質問にデイブが答える「Ask Dave」コーナーです。

Q: エクササイズはやりたいだけ(長く)行ってよいのですか?それとも教本に書いてある時間のとおりに終えるべきでしょうか?

A: 教本に書いてある時間と回数は目安です。『やりたいだけやっていいですか?』という質問から、以前気づきに関連する回答でお話ししたコンセプトの一面が浮かんできます。教本の目安より長くエクササイズをしたらよりよい成果が得られたという人もいれば、そうでない人もいます。すでに相当量のエクササイズを積んだ人の中で、短期間に成果を上げるため、エクササイズを長めに行う人もいるかもしれません。ワークショップでの気づきの作業は、各人にとっていつがエクササイズの完了かを知るためのものでもあります。エクササイズが完了したと感じたら止めて次に進めばいいし、感じなかったらそう感じるまで続ければいいのです。エクササイズは適切だったと思うが効果はなかったいと言う人がいたら、少なくとも教本に書いてある時間はやらなくては、とお答えしましょう。



◆ 「EDU-Kの秘訣」より  デボラ・スコット・スタッドベイカー
<お祝い:バランス・プロセスへ追加するもの>
去年の8月からEdu-Kのバランス調整の手順を吟味しはじめ、ペース(PACE)からポスト・アクティビティ(事後の確認)までずっとたどってきました。5月になり、プロセスへ追加するステップを検討する段になって、私たちもこのシリーズの完了をお祝いするばかりになりました。

バランスする喜びのひとつは、日常生活における諸々の要求から離れて、自己の成長にのみ没頭できる「おいしい」時間でしょう。クライアント(自己のバランス調整においては自分自身)と向き合う時、「現実」が失せていくように思えます。心身のシステムが秩序立って切り換わっていくのを必要なだけ時間を取って感じるようにします。それにもかかわらずポスト・アクティビティ(事後の確認)が完了すると、せっかくの状態の変化を十分に認識しないまま、ゆがんだ速度で進む実生活にひょいと戻りたくなってしまうものです。

学びのプロセスの終りに自分がどこにいるかをきちんと確認することは、一つのサークルを完了させ新しい成長へと統合する機会となります。互いに両手をぶつけ合って祝福するのも元気のよい締め方ですが、公認インストラクターのペグ・フライシェルが、ミネソタで音楽の生徒たちと行っているようなやり方を取り入れてみるとしたらどうでしょうか?

ペグのピアノの生徒が新しい曲を上手に弾けるようになると、選択肢がいくつかあります。リサイタルを開き審査される、(何百人もの聴衆がいるかのようによそおって)スタジオ・ホールで演奏する、ビデオに収録して見る、録音して聴く、あるいは将来に備えて暗譜して弾き込む。ペグは次にように言います。「『この曲が仕上がったのをどういう風にお祝いしたい?』と尋ねたときに生徒の目が輝くのを見るのがとても好きなの。これはまさに一息ついて労働の成果を吸い込む楽しい方法だし、身体で達成したことを実感することになるわ。」

実際のところ「労働の成果を吸い込む」時間をとる人が何人いるでしょう?バランス調整を始めるとき、ゴールはまだ手の届かないところにあります。しかしほどなく動きと意図が変化をもたらすのです。何と素晴らしい成果でしょう!ペグが言うように、お祝いとは「達成したことを身体が十分に実感」することなのです。皆さんがこのひと休止を、呼吸と新たな発見と共にすべてをまとめ上げる「追加のステップ」として、新たに見直されることをおすすめしたいと思います。

これでバランス調整を一巡り吟味してきました。ペグ、それに6か月間このコラムを支えてくださったみなさん、ありがとうございました。今後数か月は、これまで以上に皆さんからの情報をお待ちしています!手始めに・・・「ブレインジムって何ですか?」と訊かれたら、なんと答えますか?あなたの考えを送ってください。よく尋ねられるこの質問に簡潔に答えられるよう、お互いにサポートし合いましょう。
info@braingym.orgに連絡をください。
みなさんのご意見を楽しみにしています!



◆ 2009年の受賞者
財団の活動に一方ならぬ役目を果たされた方々、ブレインジムを使ってとりわけ優れた業績を残された方々に毎年賞を授与しています。今年は30名もの候補者の名前があがりました。
2009年の受賞者のみなさん、おめでとうございます。

「優れた貢献」の部:
_ デビッド・ハッバード(イギリス)
_ 田村祐子(日本/訳注:日本教育キネシオロジー協会・横浜の理事長)
_ アンジャ・バルトーネン(フィンランド)
_ ドーン・マリー・ホワイト(アメリカ)

「優れた業績」の部:
_ イザベル・コーヘン(南アフリカ)
_ マルセル・シャーマン・ゴールドスミス(南アフリカ)
_ アンドレア・ノルテ(ドイツ)
_ キャロリン・ナイランド(アメリカ)



◆ 新しくインストラクターとなられた方々
カナダ:
ナンシー・E・クラーク(オンタリオ州キングストン)
メキシコ:
リギア・ガダルーペ サンチェス・カントン(メキシコ)
アメリカ:
シェリー・ナスバウム(テキサス州ロングビュー)ステファニー・トロジェン(カリフォルニア州ビスタ)シャーラ・ウィン(ユタ州セダーシティ)


◆ ブレインジム物語
公認インストラクターのデニス・フィゲイレードは、1年生になる娘の先生プリシラ・メトカルフェから次のような手紙をもらいました。デニスは週1回ボランティアで教室に通い、卒中で倒れたプリシラの夫のコンサルタントも行っています。

「ところでビッグニュースがあります。信じられないことですが、リチャード(プリシラの夫)が読み始めました。私の方が呆然としています。最近、ほんのちょっとですが、言葉を認識しているようにも見えました。しかし昨晩のこと、私が家族全員の名前と考えつく限りの動物の名前を書き出したら、一つ一つを100%正確に読むことができたのです。

始めはまぐれだと思ったので違う言葉で次から次へと試しました。私の名前<プリシラ>まで来た時、彼は「知っているけど言えないよ。君のことだろ。」と言いました。思わず椅子から落ちそうになりました!3月上旬にスピーチ・セラピーを終えた時点では、こんなことはできなかったのです。

これはこれまであなたがリチャードと共に行ってきたブレインジムのおかげだとほぼ確信していますし、それゆえ私も精一杯フォローするように努めてきました。初めてブレインジムのプログラムのことを聞いたときは、注意力・集中力が足りない生徒のためのものだと思いました。この一年あなたからはいろいろなことを学びました。リチャードが左脳のほぼ全体を失ってしまう重い脳卒中で倒れてから、昨日で13ヶ月になりました。1年が経って大方の歩みが鈍くなりましたが、今回読めるようになった出来事で、本当にブレインジムのもたらす恩恵に開眼した思いがしています。」

プリシラは教室での生徒やクラスの成果についても書いています。
「・・・算数のスコア(郡の標準テスト)の内訳は次のようになります。
 _ 9人・・・100%
 _ 7人・・・90%
 _ 1人・・・80%
 _ 1人・・・70%
 _ 1人・・・40%・・・
すごいでしょう!ブレインジムとシェイビング・クリームの後ですぐにテストした結果です!

ではお元気で!
プリシラ・メトカルフェ」


※記事の全容を英文でお読みになりたい方は下記へアクセスして下さい。
http://braingym.org/brochures/newsletter/April_2009.html


---------
 EDU-K UPDATE 2009年5月号
---------
皆様へ
「EDU-K UPDATE」が毎月ウェブ上のニュースレターとして登場してからこの6月でちょうど一年になり、その成果についていろいろ考えています。読者に役立つ情報源となっているでしょうか?いろいろな投稿者や筆者を取り込めているでしょうか?豊かな内容で人をひきつけているでしょうか?何を加え、あるいは変えるべきでしょうか?

一年を通じて得た好意的な反応からすると、私たちは正しい軌道に乗っていると言えるでしょう。編集長として本格的なニュースレターを作るという課題に挑めたこと、また同時に木や燃料を節約し、天然資源を浪費せずにすんだことをうれしく思います。しかしながら、季刊から月刊になって、EDU-K UPDATEの発行に取られる時間は飛躍的に増えました。更に言えば、新たな投稿者を引き寄せて多様化し、ニュースレターの内容を深めることが当初のねらいでした。

3つの次元にとどまってみると、形式(フォーカスの次元)と相互作用(センタリングの次元)がこのニュースレターにさらなる成功をもたらしていることに気がつきます。インターネットの利用を続けるためには、妥当なところとして、隔月のコミュニケーション(ラテラリティの次元)手段に変更し、運営にかかる時間を幾分自由にしたいと思います。そうすることで一層充実したニュースレターを作成します。ブレインジムにまつわるストーリーやいろいろなコースの体験談、皆さんが実践している方法など分かち合い、私たちの目標達成を手助けして下さい。info@braingym.orgへ記事を送ってください。トピックを新しくしていきましょう。

お祝いは私たちの活動で大きな部分を占めます。既刊の月刊EDU-K UPDATEを生かして、より内容の深い充実した形にしていきましょう。

シンディ・ゴールデイド(営業部長)
カリ・コーディ(取締役)



◆ ブレインジム「ニュース/出来事」
【行事】
合衆国 ワシントン州シアトル: 8月8日〜9日
「個人と共同体の成功を支援する」
連絡先:ローズ・ハロウ rainroser@comcast.net

南アフリカ ケープタウン:  7月5日〜15日
「学びのための遊び、遊びのための学び」
連絡先:マルセル・シャーマン sshaman@mweb.co.za

カナダ オンタリオ州: 8月1日〜8日 第9回カナダ夏季大会
「行動におけるブレインジム」
連絡先:モーリーン・プリースト
email: maureen@braingyminaction.com
http://braingyminaction.com/regis.html

【お知らせ】
今年の「ブレインジム・ジャーナル」の3月号と7月号は、特別合併号として夏の初めに発刊されます。今号ではブレインジムの有効性について世界中から寄せられた様々な報告と研究に焦点を合わせます。



◆ 今月のスポット:トータル・コア・リパタニング(311 TCR)
トータル・コア・リパタニング・コースでは、参加者がバランス、協調、注意力、学習に問題を抱える生徒のニーズに応えていくことを学びます。そのポイントは身体の前庭システムと再び繋がりながら身体の中心部から動くことを学び、生徒が自己の中心に落ち着いてグラウンディングするようにします。腰、肩、咬み合わせに問題のある生徒が楽にダンスしたり、歩いたり、ガムを噛むようになります。

南アフリカの作業療法士、リタ・エドワーズは、次のようにレポートしています。「前庭システムが普通に働いていないときには、筋肉に伝えられた不十分な情報量で、正常の筋緊張状態を保っています。私たちはエアーズ博士が開発した特殊なテストを用い、この筋緊張度をトータル・コア・リパタニングの前と後に測定しています。従来のセラピーでは、子供たちが平均値に達するほど有効に前庭システムを統合するためには3ヶ月かそれ以上かかります。しかしトータル・コア・リパタニングの後では、子供は例外なく通常の範囲内の結果を出します。

つまり、トータル・コアだと前庭システムの統合が非常に速くできるということです。前庭システムが脳の「受付係」として働くのです。この能力は学びにおいて非常に重要な役割を果たします。もし処理が不十分ならば、情報が脳の正しい部分に届くまでもっと時間がかかったり、情報が途中で失われて学習の機会がなくなってしまいます。トータル・コアで早く効果的に前庭システムを統合することによって、子供たちはずっと早く同級生と肩を並べることができるのです。」


◆ コースを主催する
こんにちは!

夏は元気を取り戻しリフレッシュする季節ですね。EDU-Kのコースも夏にはたくさん開催されます。いつも遠出しなくてはならないものでしょうか?いいえ、遠出は必要条件ではありません。自分の地域にインストラクターを呼んで講座を開くことはできるしょうか?ええ、主催者となれば、あなたの地元に特定の講座とインストラクターを招く事ができます。

先日主催することについて発表したので、その話を少ししましょう。主催者としてあなたの街に講座やインストラクターを呼ぶことができます。それはオーガナイズすること、マーケティング、会計処理、人と人とのコミュニケーションなど、様々な技量が必要とされる多次元的なプロセスとなります。

主催するメリットはたくさんあります。講座の時間中や時間外にインストラクターと話す機会が豊富にあります。裏話や教え、アドバイスなどをたくさん聞けます。データベースが増えて、ネットワークが広がります。主催者は無料で講座に参加でき、(通常は受講者の人数によって)報酬すら入るので、金銭的なメリットもあります。当然ですが家にいれば遠出の費用もかかりません。

上手に主催する手始めは、希望する講座へ見込まれる参加人数を考慮することです。あなたが主催したいと思う講座に準備が整い参加を希望する人、実際に参加できる人は誰でしょうか?講習を開くのに最も適しているのはいつでしょう?地元の人たちとの人間関係を利用して行事予定を片はしからチェックして、ちょうどいい実施時期を決めましょう。学校行事の予定や休日、土地の行事も考えましょう。

私の経験では、コミュニケーションは主催する上でのカギです。 口頭で、あるいは地元のEDU-Kのネットワーク、ビラ、ネット、電子メール、郵便、電話を使って、受講者を募りましょう。問い合わせには速やかに答えましょう。見込み参加人数や応募の状況、講座場所、宿泊等について定期的にインストラクターと確認しましょう。事前のコミュニケーションは余裕となり、主催する講座の成功へとつながります。

この夏私は、主催する側とされる側の両方を体験する予定ですが、あなたもやってみたくはありませんか?もしそうなら、手を伸ばし、質問をして、「主催」という名のすてきなプールへ飛びこんでリフレッシュしてみませんか?

シンディ・ゴールデイド(アソシエイト・ファカルティ)


◆ Ask Daveコーナー
ホームページの掲示板に寄せられた質問にデイブが答える「Ask Dave」コーナーです。

Q:私はいつも「Xを思い浮かべる」エクササイズを最後にやっています。それが一番楽なので。最近そのエクササイズがフォーカスと集中力の度合いを改善するバロメーターとしてもはたらいていることに気がつきました。始めたばかりの数日間は、脳裏にXが浮かぶもののしばらくすると動き回ってしまいました(Xを作っている2本の線が水平になり、ほんの一瞬垂直の線になってから回転して元のXに戻る)。ブレインジムのエクササイズを続けてみて(まだXのエクササイズを最後にやっています)、しっかりフォーカスしてイメージするXが静止するくらい、集中力が長くなってきたように思います。

A:体験を寄せてくれてありがとう。ブレインジムのトレーニングを受けたことがない多くの読者にも、あなたのメッセージは役に立つでしょう。ブレインジムの基本的な26のエクササイズであなたが前向きの体験をされた様子をうれしく思っています。 「Xを思い浮かべる」や「X」を見るエクササイズは、バランス調整と呼ぶ教育的 プロセスや、デニソン氏が開発した再パターン化のプロセスで、事前と事後のチェックに使っています。

学びのプロセスの前に行われる事前チェックは、参加者/クライアントが主題、スキル、タスクの何をもう学んだかを明らかにしてくれます。またそのことによって新しく追加して学ぶべきことは何か、改善の余地はどこにあるのかを体感するのを助けてくれます。ブレインジムでは、ここに神経学上のパターンとその発達が包含されています。事前チェックは、学びのプロセス(エクササイズ、再パターン化、その他ブレインジムのアクティビティ)が更に効果的となるように、変化が望まれる領域をより特定するのに役立ちます。事後チェックは、新しい学びが定着するのに役立ちます。

事前チェックとしてXを見る時、参加者の中には「線の先端は見えますが、交差する真ん中は見えません」とか「線が移動してじっとしていません」と応える人たちもいます。そのような参加者/クライアントも、一連の学びが順調に進み、バランス調整や再パターン化のプロセスで、学びのメニューとして選択した諸々のエクササイズが完了する頃には、ごく普通にXが見えると報告していました。



◆ EDU-Kの秘訣   デボラ・スコット・スタッドベイカー
<ブレインジムとは何か?>
「EDU-Kの秘訣」の目的は、EDU-Kのコミュニティに役立つ実用的な情報を扱いやすい形で流すことです。今月は「ブレインジムとは何か?」という問いかけで考える材料を提供してみましょう。

この質問に出合ったとき、あなたは簡潔で率直な回答をしますか?それとも口ごもったり、だらだら話したりしますか?広告では強烈で気の利いた言い回しを聞くと人はその製品へと気持ちが向くものです。あなたの言葉は扉を開けるでしょうか?

時折この問いをおしゃべりの話題にしてみて、職員、執行部、委員会を代表するEDU-Kのリーダーたちからその答えを得られるのではないかと思いました。ポール・デニソン、ボニー・ハーシー、カリ・コーディ、それにシンディ・ゴールデイドは気前よく自分たちが入力した答えを見せてくれました。私も自分なりの答えを作ってみました。

私たちは皆空欄を埋めるという同じ形式で作業しました。

ブレインジムは      であり、それは      のための      である。

面白いほど幅のある回答でした。内容にのみ集中できるよう回答者の名を伏せてその答えを書き並べてみます。
・ブレインジムとは、動きが学びとどんな関連があるかというプログラムである。
・ブレインジムとは、年齢を問わずすべての人が脳と身体が最善のコミュニケーションを取れるようにする、動きが主体のプログラムである。
・ブレインジムは、より大きな成果への潜在的可能性を解き放つ、動きのアクティビティのシステムである。
・ブレインジムは、成功に必要な学びに関わる身体の能力、個人的な発達(姿勢、バランス、協調など)を扱う、動きが主体のプログラムである。
・ブレインジムは、学問、理解(力)、創造(力)、自己表現などの場面で自信をもって力を発揮するために、自制心や注意力の持続、敏捷性を含む学びの身体的技術をすぐに使えるようにするような、動きが主体の学びのプログラムである。

このようなしっかりした回答が、ブレインジムのプログラムを他者と分かち合う時の支援となり理論となると考えています。単語や語句を選んで空欄を埋めるか、ご自分の文章を考えてみて下さい。あなたの回答をinfo@braingym.orgまでお寄せ下さい。

お寄せいただいた回答を(スペースの許す限り)掲載し、ご本人の発言としてお名前を表示したいと思います。世界中の人たちが人生で大きな成功を収めるのに役立つ画期的な技術を、私たちは持っているのです。それをわかりやすく表現していこうではありませんか。



◆ 今月のファカルティ:レナーテ・ウェンネケス(ドイツ)
レナーテ・ウェンネケスはブレインジムの公認インストラクターならびにインターナショナル・ファカルティであり、EDU-Kには1983年より従事しています。ドイツ北部のEDU-K協会で、EDU-Kの基礎コースと応用コースと並んで、ディベロップメンタル・キネシオロジーを教えています。成人した娘さんがひとりいて、森の中の美しい農園に住んでいます。

レナーテの話
私は1948年に生まれ、小さな村で育ちました。外で遊んだり、小さい子供にものを教えたりするのが大好きでした。だから教師になって未就学児教育の専門家になったのです。学習に困難のある子供たちを支援する方法を、私は必死で捜していました。1983年にポール・デニソンと出合い、EDU-Kのインデプス・コースがベルリンで開催されました。読むことに難がある子どもたちの場合、目の動きと正中線を超えるところのチェックをすべきなのに、教師として知らなかったことに気づいた時のショックは忘れることがないでしょう。それは学業で成果を挙げるためには身体の能力が必要なのだという新たな発見でした。

1985年、私は学校を辞めて自分で仕事を始めました。それからは順調に世界中を旅しながら私たちの考えを広めるために協会を設立して働いています。ブレインジムという活動の奥深さを説明するだけでなく、私たちに自然に備わった動きのプログラムを知って支えていくために、ディベロップメンタル・キネシオロジーのコースをつくりました。



◆ ブレインジム物語   スザンナ・コベス(ハンガリー)
ハンガリーの小さな町で10年間、私は仲間たちと能力と人格を発達させるトレーニングを開催してきました。1998年の夏、美しい金髪の8歳の男の子“A”くんは、黒いTシャツを着て目を前髪で覆うようにして私たちのキャンプにやってきました。何かを聞かれてもうつむいたままコミュニケーションを避けていました。お互い知り合いになろうと子どもたちが絵を描く準備を始めても、“A”くんは黒のペンでなぐり書きをするだけでした。

PACEのエクササイズをしている間中、彼は何もしないで立っていました。私は彼に近づいてふた口水を飲むように言って聞かせ、一緒にエクササイズを始めました。デニソン左右再パターン化(DLR)もやりました。翌日“A”くんはひとりでPACEをしていました。DLRは私と一緒にやり、午後には一緒にネック・ロールもやりました。三日目になると、“A”くんは赤いTシャツを着てにこにこしながらやってきて、言葉によるコミュニケーションを嫌がらなかったのです。キャンプの5日間、彼が大好きだとわかったネック・ロールを毎日繰り返しました。クロス・クロール・シットアップも加えました。終わりの日までに“A”くんはいろいろな色で花の絵を描き、笑うようになっていました。姿勢は真っ直ぐで力強くなり、アイコンタクトができるようになっていました。

終わりの話し合いで、“A”くんの母親から、彼が生まれる前に父親がガンで亡くなったことを聞きました。幼い“A”くんは決して笑わず、8歳になるまでに8回も自殺を図っていました。医者は鬱病と診断して薬を処方しましたが効き目はありませんでした。

キャンプ以来、“A”くんは主にブレインジムのプログラムを通して、自分は幸せであると悟り、人生を切り開き始めました。過去13年の実践の中でこれは一番美しい体験例のひとつとなりました。“A”くんは今年中等学校の卒業試験に合格する予定で、ティーンエイジャーの生活を楽しんでいます。

あなたの物語、記事、質問、体験談などを info@braingym.orgへ送ってください。件名に"Update“と書いてください。送っていただいたものはできたら掲載します。原稿は編集することもあります。


※記事の全容を英文でお読みになりたい方は下記へアクセスして下さい。
http://braingym.org/brochures/newsletter/May_2009.html


以 上


◆バックナンバー
  EDU-K UPDATE 2009年2・3月号
  EDU-K UPDATE 2009年1月号
  EDU-K UPDATE 2008年12月号
  創設者ポール・デニソン博士のインタビュー記事
  EDU-K UPDATE 2008年11月号
  教育キネシオロジーの創始者ポール・デニソン博士のメッセージ
  EDU-K UPDATE 2008年8月号